ネジを売るの? (第2話)

就職活動を続けて3カ月、家にいても家族からの早く働けプレッシャーに押しつぶされそうになり、そんな中でウイイレしても全然面白くなくて、さてさてどうしたもんかと日々もんもんとしてました。幸い父の病気は良くなり家に戻ってこれましたが、直ぐに働けるわけでもないので、私にかかる期待は大きいものでした。

このまま就職活動してもいいところに入れそうもないなぁと思って日々過ごしてました。今考えると良いところに就職っていのは名が通った大企業に入って、そこで定年まで働くことだったんですが、今考えると当時の雰囲気が当たり前として自分で何も考えていなかったんですよね。そう考えると今の、令和に就職した人たちは環境的には当時よりベターかもしれないです。で、就職活動に行き詰まりを感じていた時に、転職雑誌を見ていたら大手派遣会社が派遣から正社員へ!という広告をうっているではないですか。当時はネットが電話回線でつなげようとすると「ビーーガー」っていって相当お金がかかった時代だったので、紙の媒体がまだ活躍してましたね。まあ、20年以上前ですが。で、この広告をみて派遣会社に電話して面接にいったら、ちょうど立ち上げたばかりだけど、大手グループ会社の事業会社があるから、書類送ってみて良ければ面接受けましょう!となりました。まあ、最初派遣だけど、後日正社員にしてくれるなら良いかと快諾しました。会社はこれまた当時HPなんてもっていないので、広告でしか分からないんだけど、戦車とかミサイルとかヘリコプターとか飛行機が載ってました。売っているものは面白そうだけど、そもそも私は何がやりたいんだろうっていうのはありましたね。

無事に書類審査通り、というより常務がかなり私の経歴に興味をもってくれたみたいで、是非面接を!といってくれたみたいです。私の履歴で面白いっていうのは、アルバイトして自費で海外留学したことかなと思いながら、面接当日を迎えました。まあ、また正直ベースで話して面接受けるかって感じで、派遣会社の営業の人と面接に行ってきました。

オフィスは大手町で、ビルの35階でした。うへぇー、良くタワマンに住む人がなんであんな高いところに住んで何がたのしいんだろうと思ってましたが、上からみる東京の景色、皇居丸見えの景色は最高でしたね。面接室に通されても緊張より絶景かな!って喜んでました。部屋に通されてコーヒーが出されましたが、派遣会社の営業の方に口をつけないように言われていたので放置して10分。ドアがカチャっと空いて、人が三人入って来ました。一人目は歩くたびに床がゆれるほどの巨漢で、顔もかなり怖い人。2人目はやはりガタイは良いけど、優しい目の中に鋭い眼光がある人、そして最後の3人目はやせた優しいお爺さんみたいな人でした。む?この人たちは何だと思いながら名刺をもらうと、1人目人事本部長、2人目財務本部長、3人目常務取締役。しかも全員役員。げ!いきなり派遣社員に役員面接かよ。一気に緊張が高まり、派遣の営業さんも固まってました。挨拶も早々に優しいお爺さん風の常務が話し始めました。

「うちはね、戦車からミサイル、飛行機、ヘリと商品がたくさんあるけど、その中で重要なのは小部品なんだよ。君はネジは売れるかね?」

は?ネジ?。。。。ネジってネジだよね。どうやって売るんだろうと一瞬考えましたが、根性入れ直して正直な回答しました。

「ネジは売れるでしょう。でもスケールが小さいので、やはりでかいものを将来的には売りたいですね。で商売を大きくしたいです。」

「面白い!同じ回答した馬鹿がうちで営業のエースしとるが、久しぶりのそんな回答を聞いたよ。大体ネジを売りにはーとか、絶対本気で売りますとかそんな回答しかないからね。」

質問はこれだけで、あとは常務の会社自慢の話で面接が終わりかけました。

「最後に質問ある?」と常務

「人を育てる会社かどうか知りたいですね。失敗しても責めるのではなく、もう1度チャンスを与えて成長を促す環境はありますか?」

「うちは失敗なんて経験だという風土だし、育てる会社だと自負しているよ。この人事本部長が君を守ってくれるだろう」

え!このやくざみたいな巨漢の人が?あんまり話したくないんだけどな。しかもなんか受かったような話で進んでるぞ。

という感じで面接は終わりました。そして2日後に派遣契約1年で、双方合意で正社員でという話にまとまりました。

続く。

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この記事を書いた人

みちしるべぇのアバター みちしるべぇ 経営コンサルタント

✓経営コンサルタント
✓FX歴は13年
✓趣味:読書、ゲーム、映画鑑賞、旅行大好きなアラ○○○のおじさん

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